顕微授精(ICSI)

顕微授精の仕組み

「体外受精」とともに不妊治療として良く聞かれるのが「顕微授精」です。その治療法は2つとも大体同じですが、その受精法に少し違いがあります。

「体外受精」が精子と卵子を培養容器の中で出会わせて自力で受精させるのに対して、「顕微授精」の場合は顕微鏡で確認しながら卵子の中に針で直接精子を注入し受精させる方法です。そのため精子が卵子に入る力が弱かったり、精子の数が極端に少ない場合など通常の「体外受精」では受精が困難な方などに有効な方法とされています。

現在では国内外ともに「体外受精」と「顕微授精」は約半々でおこなわれており、採取した時の卵子や精子の状態によって「体外受精」ではなく「顕微授精」に切り替える場合もあるようです。

矢崎 智子先生

顕微授精の流れ

「顕微授精」をおこなう流れは「体外受精」をおこなうのと同じです。前周期21日目から治療が開始され、1周期かけて妊娠に向けたチャレンジをおこないます。受精方法が違うだけで「体外受精」と手順は変わりませんので、薬や採取時の危険性などのデメリットも同じになります。

しかし、人の手により選んだ1つの精子と卵子を受精させる顕微授精は、培養容器の中で自力の受精を待つよりも確実ですし、男性不妊の原因の1つである乏精子症など、精子の数が極端に少ない場合や、女性側の年齢が高く卵子の老化がみられる場合などには向いている方法だと言えます。

ただ、受精卵を子宮に戻してからの着床は自然に任せますので、3~5回のチャレンジで妊娠に至る人が多いようです。

体外受精・顕微授精の心配

「体外受精」「顕微授精」をおこなう場合、期待とともに不安と心配もたくさん出てきます。まず不妊治療を続けるうえで立ちはだかるのが「費用」の面です。

不妊治療は保険適応外の診療となるため、治療費は自費となります。「人工授精」は1回につき平均3万~5万円となりますが、「体外受精・顕微授精」に移行すると費用は一気に跳ね上がり、1回につき平均25万~45万円となります。3~5回でのチャレンジで妊娠する方が多いので続けたい気持ちはあっても、経済面で続けられないという人もいます。けれどもこの費用の面に関しては、自治体ごとに助成金を出しているので、ぜひお住まいの自治体を調べて活用してください。

また、「不妊治療は出口の見えない治療」ともいわれるように、男女とも、精神的な負担ははかり知れません。妊娠への期待が大きいだけに、不安や落胆も大きいのです。家族や友人に相談を、と思ってもなかなか言えない人も多いかと思います。パートナーとのコミュニケーションもそうですが、一人で抱え込まずに病院や厚生労働省などの相談センターを利用して、不安を聞いてもらうようにしましょう。

矢崎 智子先生