女性の検査内容

女性側の一般検査

【基礎体温の測定】

基礎体温(BBT)の測定は、卵巣の働きを知るために最も重要な手段です。卵巣には多くの卵胞があり、下垂体性性腺刺激ホルモン(ヒト下垂体性ゴナドトロピン)、主に卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用によって発育を始め、卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌始めます。やがてこのうちの1つの卵胞が成熟し、黄体化ホルモン(LH)の働きにより卵胞が破裂し排卵がおこります。排卵後、卵胞は黄体を形成し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌し、基礎体温は上昇して高温相を示すようになります。これを黄体期(分泌期)と呼びます。黄体はやがて退縮し、月経が始まり、月経周期が終わります。
基礎体温を測ることで(1)排卵が起こっているかどうか、(2)排卵までに何日くらいかかっているか、(3)月経が25~38日の周期で整調にきているか、また(4)高温相が10日以上続き、黄体ホルモンが十分に分泌されているか、などがわかります。この条件を満たさない時には子宮内膜の正常な分泌期変化が起こらず、黄体機能不全と呼び、着床障害による不妊、流産の原因になります。

【卵管疎通性検査委】

子宮卵管造影検査では、子宮腔の大きさとともに卵管の走行、疎通性、狭窄、卵管水腫の有無などの検査をするために行われます。
卵管性不妊の診断に非常に大切な検査で、この検査を行った後に卵管が機械的に拡張されたり、周囲との癒着が剥がれたりして疎通性が回復し、検査後1年くらいの間に妊娠するケースもしばしばあります。

【フーナーテスト(性交後検査)】

排卵当日の朝、性交を行い、膣内、頸管粘液内に運動精子がいるかどうか調べる検査です。普通、性交後2~4時間たって採取した頸管粘液を顕微鏡で検査し、視野内の運動精子を数えます。
精液検査でで精液所見が悪い場合は、フーナーテストの悪いことが多く、また性交のタイミングが合わなかったり、粘液量が少なかったり、抗精子抗体が陽性の場合など、運動精子を認めないことがあります。フーナーテストの成績が不良の場合は、周期を変えてもう1~2回検査を繰り返します。その間、ホルモン測定、精液検査や不妊症の治療人工授精などを行って検査や治療を進めていきます。

【抗精子抗体の検査】

抗精子抗体は、女性の血液中や子宮頸管粘液、卵管分泌に認められることがあります。
女性が抗精子抗体を持っていると、精子の子宮頸管内から子宮腔、卵管への上昇が障害されることが知られており、そのため精子を直接子宮内に注入する人工授精が行われています。抗体価が高く、人工受精でも妊娠成立にいたらない場合には、体外受精、顕微授精へとステップアップしていきます。

【卵巣ホルモンと視床下部-下垂体-卵巣系ホルモンの測定と負荷テスト】

月経周期では、卵巣ホルモンとその分泌を調節する上位の下垂体からの性腺刺激ホルモン(FSH/LH)、さらにまたその上位の視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の間には、密接な関係が成り立っており、互いに分泌を調節し合っています。
月経周期3日目にFSH、LHの測定とGnRHを投与し、その反応によって視床下部-下垂体-卵巣系の障害部位を診断する事が出来ます。また、高温相には黄体ホルモンの測定を行って黄体機能の診断に役立たせます。

【プロラクチンの測定と負荷テスト】

乳分泌ホルモン(プロラクチン「PRL」)が高いと乳汁漏出と排卵障害や無月経を認めることがあり、その測定は大変重要です。血中の値が30ng/mL以上の高値を示した場合、高プロラクチン血症と呼び、乳汁漏出や月経異常を伴う場合、ブロモクリプチンやテルグリドなどを投与して治療します。

【甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモンの測定と負荷テスト】

抗甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプター抗体が甲状腺を過剰に刺激して甲状腺ホルモンが分泌されると、発汗、動悸、体重減少などが認められ、このような症状を示す疾患としてはバセドウ病が知られています。バセドウ病は女性に多くみられ、不妊と密接に関係しています。
副腎は副腎皮質ホルモン(ACTH)により刺激を受け、グルココルチコイド(コルチゾール)、電解質ステロイド(アルドステロン)、副腎男性ホルモン(デヒドロエピアンドロステロン「DHEA」およびその抱合型)を分泌し、排卵に影響を及ぼします。

【男性ホルモンの測定】

成人女性においても、男性ホルモンが高値を示し、排卵障害やニキビ、多毛、肥満などの症状を示す場合があります。特に多嚢胞性卵巣症候群を示す場合はしばしば上記の症状を示し、不妊の原因になっています。
男性ホルモンは、卵巣と副腎から分泌され、卵巣からはテストステロンやアンドロステンジオンが、副腎からはDHEAやその抱合型が分泌されます。

女性側の特殊検査

【子宮鏡検査(ヒステロスコピー)】

子宮内腔の癒着、内膜ポリープの有無、粘膜下筋腫などの内腔への突出の程度、子宮中隔の有無など、子宮腔内面の異常を直接見ることが可能で、子宮性不妊の診断に有効な検査です。

【腹腔鏡検査】

臍部(さいぶ)下の小切開孔より、腹腔鏡を挿入し、腹腔内をモニターテレビ上に映し出し、観察します。
原因不明不妊や子宮内膜症、卵管周囲の癒着の診断に威力を発揮します。

【卵管鏡検査】

卵管間質部や峡部での閉塞が疑われるとき、卵管鏡で観察しながら卵管へカテーテルを挿入し閉塞部を押し広げていく検査です。

【染色体と遺伝子の検査】

流産や死産を繰り返し、生児が得られない不育症も広義の不妊症ととらえ、染色体検査や遺伝子異常を調べる検査が必要となることがあります。夫婦の染色体均衡型転座は3.1%程度に認められ、不育症の原因となります。

【糖負荷とインスリンの測定】

糖代謝異常やインスリン抵抗性があると不妊の原因となり、排卵障害や着床障害が起きることがあります。肥満、糖尿病や多嚢胞性卵巣症候群の女性は検査を受けましょう。

【自己免疫疾患、血液の凝固異常の検査】

体外受精で妊娠したのに、流産を繰り返した場合(反復流産)、流産の危険因子を早めに知り、予防的手段を講じるのは大切なことです。